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松井冬子 展

2005年3月31日(木)- 4月28日(木)


成山画廊では、九段の桜が美しい頃、美しい女が描く美しく、恐ろしい日本画を御紹介致します。
“幽霊の出現の原動力が怒りを伴っているところに共感している”松井冬子は狂気に近い状態でありながら正気を保っている状態、ヒステリック、を古典的な雅びさを踏まえ、絹の上に表しています。

鎌倉時代の絵巻「九相詩絵巻」は不浄相とされていますが、この絵巻から霊感を受け描かれた「浄相の持続」を松井はあくまで“けがれない死体”という気持ちで描いており、また、浄相が持続するという事が痛覚の神経線維に触れるような痛々しい姿であるように感じています。
我が国日本では昔、幽霊画や無惨絵は厄払いや縁起物として扱われた事があります。
「魔をもって魔を制す」という考えから、床の間に幽霊画を飾ったり、通人の間では羽織裏に恐ろしい絵、無惨絵を描かせたりしていました。

幽霊程驚愕があり、日本的な感情、美意識また優美さを感じさせる正体不明なものは無いと考えています。
成山画廊のそれらの思いが纏まった、私共らしい展示となる事かと存じます。





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